懐かしのアーケードゲームの基板コレクションの紹介です。

ゲーム基板を集め始めたのは、「ゼビウス」を入手してからです。名作ゲームの本物をいつでも楽しむ事が出来る喜びと安心感は、 他の手段では実現できません。以来、アーケードゲーム創世期の名作をこつこつ集めました。 最近はプレミアが付き、高額になりつつありますが、手頃な値段の時に購入できたのは、ラッキーだったのかもしれません。

「懐かしのゲームを楽しみたい」と思っている方には、ゲーム基板にチャレンジする価値はあるのではないでしょうか?多少ハードの知識や技術は必要ですが、基板の配線方法、筐体(テーブル型)のオーバーホール記録も掲載します。

基板コレクション

スペースインベーダー
スペースインベーダーPCB

スペースインベーダー
(タイトー)

1978年登場、アーケードゲームの幕開けとなった歴史的名作です。名古屋打ちという裏技が実装されていたのもゲームの魅力を一層深いものとしました。

当時、まだゲームセンターはあまりなく、喫茶店やスーパーの飲食コーナーなどに置いてあるのが一般的でしたが、インベーダーの爆発的ブームにより「インベーダーハウス」なるゲームセンターがあちこちにできました。

筆者が所有しているのは、カラーでスコアが5桁のタイプです。

スクランブル
スクランブルPCB

スクランブル
(コナミ)

1981年登場、元祖スクロールシューティングゲームです。8方向ジョイスティックと、2つのボタンを使い、最終目標の敵ベースを破壊すると目的達成です。

クリアするのは比較的簡単で、4周目で燃料の減るスピードが最速になった後は、ずっと同じパターンの繰り返しとなります。

その後、キャラクタをヘリコプターに変え、攻撃パターンやコースの難易度を大幅に上げた「スーパーコブラ」が登場しましたが、筆者は攻略できませんでした。

ギャラガ
ギャラガPCB

ギャラガ
(ナムコ)

1981年登場、「スペースインベーダー」→「ギャラクシアン」と進化してきたスペースシューティング分野の傑作です。ボスにファイター(自機)をキャプチャされた後、攻撃中のボスをやっつけるとデュアルファイターになれるなど、それまでに無い設定に驚きを感じました。

面が進むと、攻撃機がナムコお得意の「ギャルボス」3匹に分裂したりして、多彩な攻撃パターンでプレーヤーを飽きさせません。

また、チャレンジングステージで、40匹全ての敵をやっつけて、パーフェクトミュージックを聞くと、何とも言えない満足感を覚えたものです。

ゼビウス
ゼビウスPCB

ゼビウス
(ナムコ)

1982年登場、自機全方向移動/縦スクロールシューティングの最高傑作です。それまでのナムコゲームとは異なり、画面やキャラクタデザイン/色彩など当時としては大変斬新な印象を受けました。

「ソル」や「スペシャルフラグ」などの「隠れキャラ」の存在や、背景にSF小説が書かれていた事など、独自の世界観を築いていました。

マニアによる攻略本がバカ売れしたのも、「プレイするたび謎が深まる!!」というキャッチフレーズのとおり、 奥深いゲームだったからでしょう。

パックマン
パックマンPCB

パックマン
(ナムコ)

1980年登場、コースの中のドット(エサ)をひたすら食べてゆく、いわゆる「ドットイート」ゲームの典型です。

このゲームは、デモ画面のどこにもゲーム名が明記されてなく、英語表記について「PAC-MAN」か「PUCK-MAN」かで議論を呼びました(当サイトではPAC-MANで統一)。

その後、スーパーパックマン、パック&パル、パックランド、パックマニアなどパックマンシリーズが続々登場しました。

筆者が現役でプレイしたことがあるのは、このパックマンとスーパーパックマンまででした。

ディグダグ
ディグダグPCB

ディグダグ
(ナムコ)

1982年登場、パックマンと並ぶナムコキャラクタゲームの雄です。このゲームには「ZIG ZAG(ジグザグ)」という有名なコピー基板が出回っていて、筆者の高校の「裏店」にも置いてあり、しばしば遊んだ記憶があります。

最後の1匹を、岩を落としながらパンクさせると面が終了しなくなる裏技が存在していて、地面を掘って画面を真っ黒にしたものです。その後、おもむろに2つ目の岩を落としてベジタブルターゲットを取ると、面の終了となる訳です。

ハイスコアを出した時、緑色に拡大されたハイスコアと共に流れるミュージックが印象的でした。

スーパーパックマン
スーパーパックマンPCB

スーパーパックマン
(ナムコ)

1982年登場、パックマンシリーズ第2弾です。パックマンでドットだったエサが、フルーツになり、反撃用のエサも「パワー」と「スーパー」の2種類に増えました。

このゲームは、鍵を食べる度に開く「壁」が決まっていて、面が進むほど鍵から離れた場所の「壁」が開くようになり、難易度が上がってゆきます。

3ラウンドごとのボーナスステージでは、スーパーパックマンの状態で、時間内に全てのフルーツを食べるとクリアとなり、残り時間がボーナスとしてスコアに加算されました。

パックマニア
パックマニアPCB

パックマニア
(ナムコ)

1987年登場、パックマンシリーズの集大成でしょう。立体的に繰り広げられるモンスターとのバトルや、ステレオミュージックなど当時の技術の粋を集めた作品です。

面のデザインやBGM/効果音に元祖「パックマン」のものがアレンジして使用されていて、懐かしくもあり、とても新鮮な印象を受けました。

筆者は現役でプレーしたことはありませんが、当時の深夜番組で紹介されていたのが記憶に残り、後に基板を入手するきっかけとなりました。

配線方法

実際にゲーム基板を動作させるには、基板から筐体へ接続する「中間ハーネス【写真1】」を作成します。このハーネスを接続することにより、基板毎に異なる端子規格を、筐体側(筆者所有のものはタイトー式、36ピン メスコネクタ【写真2】)に合わせる事ができます。

筐体側(36ピン メス)の配線は下図の様になっています。この筐体側メス端子に挿せる「36ピン オス」基板【写真3】とゲーム基板(固有配列【写真4】)の対応する端子同士を0.18sq〜0.3sq程度の導線(ビニール線、以下同様)で配線して中間ハーネスを作成します。GNDと電源関係は、電流が大きいので0.5sq〜0.75sq程度の導線を使用するようにします。

タイトー式配線図
36ピン メスコネクタ(配線端子側)
A GND GND 1
B GND GND 2
C GND GND 3
D スピーカー(+) スピーカー(-) 4
E +12V +12V 5
F -5V 6
H 1P UP 1P SHOT3 7
J 2P UP 2P SHOT3 8
K +5V +5V 9
L 1P SHOT2 1P DOWN 10
M 2P SHOT2 2P DOWN 11
N 2P START 12
P 1P START COIN 13
R 1P RIGHT 1P SHOT1 14
S 1P LEFT RGB R 15
T RGB B 2P RIGHT 16
U RGB G 2P LEFT 17
V RGB SYNC 2P SHOT1 18
中間ハーネス 筐体側コネクタ
【写真1】中間ハーネス。

【写真2】筐体側コネクタ。

中間ハーネス側コネクタ 基板側端子
【写真3】中間ハーネス側コネクタ。
この部分を筐体側コネクタに挿す。
【写真4】基板側端子。

筐体オーバーホール記録

テーブル型筐体

実際にゲーム基板を動作させるには、電源やジョイスティック、スタートボタンや攻撃ボタンなどを接続する必要があります。最近はコントロールボックスという、ゲーム基板の動作に必要な機器を組み込んだ専用の装置も市販されているので、これらを利用するのが一般的でしょう。

しかし、アーケードゲームの醍醐味は、やはり「本物の」筐体(ジョイスティック、ボタン、画面)でプレイすることではないでしょうか。筆者は、最初に「ゼビウス」を入手した時に、本物のテーブル型筐体を25,000円で購入しました。業務用に使用されていた筐体でしたので、痛みも結構ありました。そこで、電源ライン等の再配線、ブラウン管駆動基板の汚れ(ホコリ)の洗浄/調整、スピーカー/冷却ファン等部品の交換、一部外観の再塗装を行ないました。ここでは、オーバーホール箇所と整備方法の解説をします。

電源ラインの再配線

配線の様子

購入時の状態は、+12Vと+5Vは電源ユニットから筐体側メスコネクタに直接配線されていましたが、-5Vだけは別の端子から空中配線されていました。このままでは接触不良による電圧降下や、不意の接触により断線してしまう心配がありましたので、他の電源ラインと同じように配線し直し、クランプで留めました。

電源ラインの配線には、中間ハーネスと同様に太目の導線を使用します。太目の導線は、自動車用品店の電装品コーナーで、太さ0.75sq〜1.25sq程度のものが入手できますので、利用しても良いでしょう。

部品の交換

スピーカー

筐体購入時に付いていたスピーカーは、コネクタ配線の精度の悪さから、電源ラインとショートしてしまい焼き切れてしまいました。そこで、配線の整理と同時に同様なタイプと交換し、ついでにスピーカー出力調整用のボリュームをつけました。

今回交換したスピーカーは「8Ω15W」のものですが、極端に小さいものや大きいものでない限り問題ないようです。

ジョイスティックとプッシュボタン

ジョイスティックとプッシュボタンも交換しました。交換するプッシュボタンは、業務用のものが専門店で入手できます。見た目の新しさと同時にカラフルになり、古い筐体が少しは新鮮に見えるようになります。機能的には接触不良が無くなり、ボタンを押した時の反応が良くなります。

ボタンは消耗品と考え、予備部品をストックしておくと良いでしょう。また、ボタン交換時に配線をハンダ付けし直さなくて良いように、配線側にカーオーディオ用「110スピーカー端子」を付けておきました。

ジョイスティック

ジョイスティックはゲームの操作性に影響しますので、ここでは4方向⇔8方向切り替え可能なタイプと交換しました。入手したのは、ミスタージョイスティック「JL-W」です。このモデルは、切り替え時に工具が必要ありませんのでお勧めです。

パックマンやディグダグの時は4方向、スクランブルやゼビウスのときは8方向に切り替えないとうまく操作できませんので、切り替えタイプへの交換は必須です。

その他、筐体下部に冷却用のファンがありますが、回転音が大きく汚れもあったので交換しました。この筐体のFANは、12cm角100Vのタイプでしたので、同型のFANと交換しました。交換後は、回転音が静かになりプレイに集中できるようになります。

画面駆動基板の洗浄

エレクトロニッククリーナー

画面の調整を行う前に、駆動基板がホコリだらけで汚かったので清掃する事にしました。最初にエアーでホコリを吹き飛ばし、その後基板自体の洗浄を行いました。

基板を洗浄するには、専用の洗浄剤(スプレー)を使用します。今回は基板洗浄用の専用品(サンハヤト ハイシャワーDS-216)を使用しましたが、入手性に優れる「KURE エレクトロニッククリーナー」を使用しても良いでしょう。

駆動基板の洗浄が終わったら、良く乾かしてから筐体に戻します。

画面の調整

高圧コイルと可変抵抗器

ブラウン管の宿命として「ピンボケ」があります。ピンボケの原因は主に経年変化によるコンデンサの容量減少が考えられますが、ここでは、ブラウン管の高圧コイルを調整してピントを合わせてみます。

ブラウン管駆動基板にある高圧コイルに付いている可変抵抗器を絶縁ドライバなどで少しづつ回してみます。左右どちらかにまわすと、ピントが合ってきますので、最もピントが合う位置まで回して調整します。

画面の色の調整ですが、購入した筐体には「RGB DRIVE」という可変抵抗器がありましたので、好みの色合いになるよう調整します。

また、基板によっては同期が合わず画面が流れたり乱れて表示されなくなる事があります。この場合は「V.HOLD (垂直同期)」を調整する事により画面が表示されるようになります。

筐体の再塗装

筐体のオーバーホールをする場合に、可能な限り部品毎にバラして作業しますが、表面が劣化した部品は再塗装してリフレッシュさせました。

筐体の本体上部の木部は劣化も少なく細かい傷の修正程度に収めましたが、本体下部の金属部分はサビによる劣化が目立ちましたので再塗装を行いました。

使用塗料各種

脚部は本来クロームメッキされているのですが、経年変化でサビが出ており、全体に輝きが無くなっていました。本当は業者に依頼して再メッキをすれば良いのですが、そこまでお金を掛けられませんので、今回はシルバー色で塗装を行いました。

塗装の前には十分に汚れやサビを落とし、塗料の密着性を良くするためにサーフェーサを下塗りしておきます。使用する塗料は、強度/値段/入手性共に優れる、自動車ボディー補修用の「ソフト99 ボデーペン」シリーズがお勧めです。

本体下部の金属筐体は黒塗装処理されていますが、ここにもサビが発生しており修正する事にしました。

ここで使用する塗料は、脚部と同じ「ボデーペン」でも良いのですが、サーフェーサ不要でサビに強く密着性にも優れる「シャーシブラック」を使用しました。塗装前には、サビを落とすためにペーパー掛けしますが、なるべく既存の塗装を残し下地(金属部分)が出ないよう表面を整えておきます。塗装時には、面毎に分けて作業すると仕上がりがキレイになります。

コントロールパネル部は、オリジナルの印刷を残すため、クリア塗料で補修します。パネル部の汚れを清掃した後に、1000〜1500番のペーパーで極軽く足付けを行い、クリア塗料を吹き付けました。ここで使用した塗料は「KURE シールコート」という製品です。これは、自動車部品の保護等に使用するもので、強固な皮膜を形成するため傷防止効果が期待できます。